2023ホープフルステークスのレース回顧 牝馬のキレでレガレイラが勝利

レース回顧

ホープフルステークスの結果

出走前に1枠1番のゴンバデカーブースが取消。それによりレガレイラとシンエンペラーへの票が集まりました。
結果的にはレガレイラ1着、シンエンペラー2着となり、ゴンバデカーブースの実力はさぁどれくらいだったのかという結果で終わったホープフルステークス。

ほぼ全てのラップタイムが12秒強で推移しましたが、それはヴェロキラプトル戸崎の上手さでしょう。
戸崎Jのコメントから考えると、特に道中はそこまで問題が無かったので、+14kgがこたえたのか、2ハロン目の10.8がこたえたのかというのが最後垂れてしまった原因でしょう。

ヴェロキラプトルの2代母Louveterieは、仏オークス(G1)2着・サンタラリ賞(G1)2着。
Louveterieからは仏グランクリテリウム(G1)を制したLoup Solitaireや、イスパーン賞(G1)を制したLoup Sauvage等重賞ウィナーが何頭も出ており、牝系のレベルとしては凄く高く、ヴェロキラプトルの兄弟を見ても、距離適性は2000mで問題はなかったでしょう。
本命としていただけに、残念です。

また、中山芝が有馬記念の週よりかはパワーが必要な馬場になりましたが、それがどこまで影響を与えているかというと、着順から見ると、そこまでかなというのが見立て。

レガレイラの血統解説

レガレイラはスワーヴリチャード産駒の成功パターンの配合。
母父ハービンジャーなので、ハービンジャーの父Dansiliからパワーは伝わっていますが、それと同時にDansiliの母Hasiliからは持続的なスピードも伝わっており、これはHasiliの持つBlushing GroomとHyperionによるものだと考えられます。

「母父ハービンジャーなので京都のようなスピード決着する馬場よりかは、少しパワーのいる馬場が良いが、中山で必要なサッと動く機動力があるかと言われるとそのような配合でもない」というのがレース前の見立てでしたが、ラスト3Fから前に進出していき、最後の坂で一気に詰め寄る様はそのような機動力など不要なほどの斬れでした。
最後は余力たっぷりで、来年のクラシックに向けてかなり期待のできるレースでした。

シンエンペラーの血統解説

シンエンペラーは、代々Mr.ProspectorとNorthern Dancer を重ねてきたような美しい配合。(Mr.Prospectorの5×5・5・5、Northern Dancerの5・5×4・6・7・7
シンエンペラーの母Starlet’s Sisterは、アメリカでG1を5勝したSistercharlieや、フランスダービー馬・2020年凱旋門賞馬のソットサスを輩出した名牝で、ソットサスと同じ父親Siyouniとつけられて産まれたのがシンエンペラー。

ここまでNorthern Dancerの血が多いとなかなか固く重くなりがちですが、これに柔らかさ・素早さを与えているのが母Starlet’s Sisterが持つMiswaki。
Starlet’s SisterはMiswaki 3×3で、Miswakiの母HopespringseternalはTom Foolとナスキロ血脈(Nasrullah+Princequillo)を持っており、これが柔らかさ・素早さを与えていると思われます。

最後の直線はふらつきましたが、4角を見るとサッと動ける脚はあり、これはまさにTom Fool的な脚でしょう。
個人的に、血統全体としては中山よりかは東京でNureyev≒Sadler’s Wellsの3×4を見せつけてほしい馬です。

サンライズジパングの血統解説

キズナの成功パターンはStorm Catの配合をなぞることというのはこのブログでも書いていますが、サンライズジパングはまさにそれにあてはまる配合。
(サンライズジパングの母サイマーが持つロイヤルアカデミーⅡがStorm Catの配合とニアリー。)

そして、なんといってもポイントは母サイマーが持つCoup de Folieの4×3(Haloの5×4)で、これがサンライズジパングにサッと動ける素早さを与えている要因でしょう。

ショウナンラプンタが道中かかっても、それについていかず、がっしり自分のペースを守ったあたりは操縦性は良く、菅原Jもよく我慢しました。
ダートで初勝利を上げましたが、初戦は芝で走っており、芝ダート両方で走れることを示しました。

レース総論

結果的には、レガレイラの持続的なキレで勝負が決まりましたが、印象としては中山の鬼のような機動力のある素質馬がいなかったレースで、そういう意味ではヴェロキラプトルに期待はしていましたが、レガレイラの能力で終わったというのが今年のホープフルステークス。
馬券外のミスタージーティーやアドミラルシップも素質を示したレースであり、来年に向けて、すごく楽しみの残るレースでした。

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